スラムドッグ$ミリオネア
アカデミー賞8部門受賞作品。
これまたずっと気になっていた作品の一つです。
Amazonインスタント・ビデオを初利用。
あらすじ
まともな教育をほとんど受けたことのない、スラム出身のジャマールが、クイズ番組、クイズ・ミリオネアの最終問題まで到達。
弁護士や医師が辿りつけなかった境地になぜ彼が到達できたのか。詐欺の疑いをかけられ、取調室で語った彼の壮絶な人生にその答えがあった。。。
以下ネタバレ
【総評】 90点
映画としての構成は完璧です。
シーンが変わる度に、頭に「?」が浮かび、その答えが更に次の「?」を生むという流れがテンポ良くひたすら繰り返されていきます。
一度も退屈することなく、一気に時間が過ぎていく展開になっています。
この作品自体に深いテーマがあるというわけではなく、終わってみれば一途な青年(少年)が初恋の人をひたすら探し求めていく話。
そのシンプルさが観ていて非常にわかりやすく、共感を呼びました。
強いて難点をあげるとしたらたまに苛酷過ぎて観ていられないところがあるところでしょうか笑
安穏とした人生を送っている日本人には少し刺激が強すぎるかも知れません。
そのせいで面白かったことは間違いないのですが、二度目はないかなという印象。
【生きるということについて】
自分がこの作品を観ていて一番眼についたことがインド人の「生への活力」の豊かさです。
この作品に登場する人物は皆、悪人も善人も自分の生に必死です。
スキがあれば盗みを働き、売れるものを片っ端から売り、金持ちにたかり、子供を使って物乞いを矯正する人もいたりと、すべての人が自分の生にしがみつき、そしてより良い暮らしを目指そうと死に物狂いです。
どんなに過酷な状況にいようと、たとえごみ廃棄場で寝泊まりをしていようが、彼らの眼は生への欲望に光り輝いています。
今の日本人は最低限の「生」は確保されていて、その上で何をしようかやりたいことが見つからず迷い、生きることのエネルギーを失っている人が多い気がします。
本来の人間のあるべき姿とは、生きることを全うすることにあるんじゃないかと、自分の生活レベルは絶対に落とすことはできないけどそんなことを思ってしまいました。
たぶん旅行するならインドに行けとよく言われるのはこういうことなのでしょうか。確かに、生への執着と、エネルギーは日本人のそれと比べ物にならない気がする。
こういう視点以外にも、ジャマールとその兄サリームの生き方の対比、インド社会の変化など考察のしがいのある作品だと思います。
気になっている方はぜひ。